クレジットカード現金化と『自己破産』の関係
クレジットカード現金化と自己破産の関係を見ていきましょう。
まず始めに『自己破産』とは
自己破産とは、裁判所に「破産申立書」と呼ばれる書類を提出し「これ以上支払いできない(支払い不能)」という「免責許可」をもらうことで、借金を免除してもらう制度のことです。
この「免責許可」とは破産者の債務を撤回することを指し、債務超過に陥った際、支払い能力がないと裁判所が認めた場合のみ受けられます。
ただし、この自己破産は、財産が処分されたり、保証人に迷惑がかかったり、20万円~50万円の弁護士費用がかかるなど安易に利用できる制度ではありません。
そのため「自己破産だけはしたくない・・・」と思う方も少なくはないはずだ。
しかしながら、借金に困っている方の法的な救済措置となっています。国に救済を求めることができる最終手段なのです。
クレジットカード現金化にはこの「自己破産」ができなくなるリスクがあります。
困った時に国を頼れなくなってしまうのは大変だね。どうしてこんなことになるのか詳しく見ていこう。
クレジットカード現金化で自己破産の「免責許可」が下りにくくなる
自己破産は公的な制度である以上、基本的には誰であっても自己破産ができる見込みがあるでしょう。
ただし、「条件」があります。
借金がこれ払えない状態(支払い不能)であり、税金や保険料、慰謝料など「非免責債権(返済必須の債権)」ではない借金があることが条件としてあるが、有名なのは「免責不許可事由」だ。
自己破産の制度を定める「破産法」の第252条では「免責不許可事由」と呼ばれる11個の項目が定められており、ここに該当する人間は免責が許可されず、自己破産ができません。
「免責不許可」とは「免責許可」…つまり「債務の責任を負わなくてもいいという許可」が承認されないということ。
この252条には例えば、以下のような項目があります。
- 1号:債権者に損害を与える意図
- 2号:破産手続が開始されるのを遅らせることを意図し(破産を先延ばしにしようとして)、高利の借金をしたり、クレジットカードで商品を買ってその物を安く換金したりする
- 3号:他の債権者には支払いをしない(借金を返済しない)のに、家族、友人などには支払いをしてしまう行為(偏頗行為)
- 4号:浪費、ギャンブル、その他の射幸行為
11個ある「免責不許可事由」のうち、4つをピックアップしました。実は「クレジットカード現金化」行為はこれらの項目に該当しやすいと考えられています。
特にクレジットカード現金化の場合、2号に該当すると判断される可能性が極めて高いです。
同時に、クレジットカード現金化をする方には、1・3・4号を中心にその他の項目を複数満たす方も少なからず存在しています。
上記を満たすような方は免責不許可事由に該当し、自己破産できなくなりますので注意しましょう。
また、クレジットカード現金化行為については審尋の際に隠した所で、裁判所によって選任された「管財人」が調査を行えばほぼ確実に発覚します。
クレジットカード現金化は裁判所に「ばれる」ので破産手続きの際は包み隠さずに答えましょう。
では、クレジットカード現金化を行った経歴があると自己破産できないのか
免責不許可事由について説明しましたが、結論としてはクレジットカード現金化を行っていたとしても、自己破産の手続きを進めることができます。
その理由が「裁量免責」と呼ばれる制度です。
クレジットカード現金化によって「免責不許可事由」を満たしていても、裁判所(管財人)が背景や事情を考慮し、「裁量」で免責を許可する場合があり、これを「裁量免責」と呼びます。
この裁量免責が許可されれば、たとえ免責不許可事由を満たしていても、通常通り自己破産手続きを行うことができます。
ただし、このような裁量免責になる場合は、免責の質疑応答の際に、反省している姿勢を見せることが大切です。自己破産に関係する諸手続には「すべて」正直に伝えて反省の姿勢を示しましょう。
現金化を行って破産手続きを行うとどうなる?
まず、自己破産の手続きには、
- 管財事件:財産の調査がある
- 同時廃止:財産の調査の必要なし
という2種類の手続きがありますが、メリットが多いのは「同時廃止」の方で、費用も管財事件と比べて安く、手続きにかかる期間も短いため、負担が減ります。
ただし、同時廃止の手続きで自己破産するためには、
- 条件1:20万円以上の財産がないこと
- 条件2:99万円を超える現金がないこと
- 条件3:免責不許可事由がないこと
といった条件を満たす必要があり、クレジットカード現金化を行っている場合は免責不許可事由に該当する可能性が高く、メリットの多い同時廃止の手続きで自己破産手続きを進めることができません。
そのため、基本的にはクレジットカード現金化を行った方の破産手続きは基本的には「管財事件」として扱われるケースがほとんどです。
クレジットカード現金化を行ったからと言って破産の手続きができなくなるわけではないのでご安心ください。
管財事件では費用の額が数十万円と大きくなりますが、弁護士を立てて20万円程度の費用で済む「少額管財事件」として手続きを進めることもできます。
また、最初から管財事件として自分の行いを反省すると、裁量免責が通りやすくなる傾向もあるようです。
いずれにせよ、実際に自己破産の手続きをする際には弁護士の力を借りる必要があります。